こんにちは、マットです!今日は韓国で最近話題になった「麺すすり論争」について、韓国在住の視点からご紹介したいと思います。
「麺をすすりながら食べる文化」が、日本ではごく自然なことですが、韓国では意外にも賛否両論を巻き起こしています。
特に2022年、有名バラエティ番組内で俳優のイ・ジョンジェさんが静かに麺を食べたシーンがきっかけとなり、
麺すすり(面치기)のマナーを巡る本格的な論争が勃発しました。
この議論を通して見えてきたのは、単なる食べ方の違いだけではなく、韓国社会全体のマナー意識や食文化の変化だったのです。
そもそも麺すすり(面치기)とは?
麺すすり、韓国語で「面치기(ミョンチギ)」とは、
麺を切らずに一気に吸い込むようにして食べるスタイルを指します。
もともと東アジア全体に見られる食文化で、ラーメンやうどん、そばなど、国や料理ごとに少しずつ意味合いが異なります。
韓国では、昔は麺をすすりながら食べる行為はあまり強調されていませんでしたが、
1980年代以降、ラーメンCMやバラエティ番組の影響で「面치기」というスタイルが広まりました。
www.youtube.com中でも、芸人キム・ジュンヒョンさんが番組内で見せた豪快な麺吸いパフォーマンスは大きな反響を呼び、
**「麺はすすって食べるもの」**というイメージが一般に浸透していったのです。
韓国における面치기文化の変遷
韓国でも日本と同じく、麺料理は日常的に親しまれています。
ただしもともとは、食事中に音を立てずに静かに食べるのが礼儀とされてきました。
ところが、ラーメン文化の浸透とメディアの影響により、
「麺をすすりながら音を立てて食べる姿」が「美味しさを演出する行為」として頻繁に取り上げられるようになりました。
しかし近年では、特に若い世代を中心に、
「食事中の不快な音」に敏感な人たちが増え、
面치きを過剰に推奨する風潮に対して「不快だ」「マナー違反だ」という声が高まってきています。
なぜ今、面치기が批判されるようになったのか
批判が本格化した最大のきっかけは、2022年に放送されたバラエティ番組での出来事です。
俳優イ・ジョンジェさんが静かに麺を食べる姿に対して、出演者たちが
「麺はすすってこそだ!」、「静かに食べるなんておかしい!」
というニュアンスのコメントを連発したことが、視聴者たちの反発を招きました。
SNS上では、この写真に対して、韓国のSNSではこんな反応も見られました。
「まるで、両班(ヤンバン)が食事作法を守らない賤しい者を見下ろしているようだ」と。
イ・ジョンジェさんの静かな視線と、隣の豪快な麺すすり姿のコントラストが、まさにそんな雰囲気を醸し出していると話題になったのです。
「食べ方は個人の自由だ」、「むしろ静かに食べる方がマナーがいい」といった声が瞬く間に広がり、
メディアも面치き文化への賛否を大きく取り上げる事態となったのです。
食文化は多様だからこそ、マナーとのバランスが大事
今回の麺すすり論争を通して、私が改めて感じたのは、
食文化は国ごとに違っていて当たり前だということです。
でも、公共の場で食事をする以上、
自分にとって自然な行為が他人にとって不快に映るかもしれないという意識も、これからますます大事になっていくはずです。
韓国も日本も、そして世界中でも、
食べ方ひとつとっても文化や価値観が違う。
そんな違いを面白がりながら、お互いに思いやる気持ちを忘れずにいたいですね。